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通訳日記 読んだので感想

Numberで短期集中連載⇒単行本化の話を聞いて以来読みたかった本、やっと読みました。なので感想。ネタバレ含みます。

日本代表の歴代監督の記録というのは、公式なものとは別に色々出る。古くは「28年目のハーフタイム」 ((’96 アトランタオリンピック。金子達仁の出世作)) 「山本正邦 備忘録」 ((2002 FIFAワールドカップ/未読(!)))「敗因と。」 ((2006ドイツワールドカップ/未読)) 「オシムの伝言」など。あ、映像版として「6月の勝利の歌を忘れない」というのもありましたな。

で、この本はザッケローニの通訳として4年間従事した人の目からみた日本代表…というよりザッケローニの記録。この人自身がサッカー選手になりたくてイタリアに渡り、色々あってトリノに移籍した大黒将志の通訳を務めたのが縁でザッケローニと知り合い、指名されてからの4年間の話。

監督・ザッケローニが何をスタッフ、代表メンバーに伝えていたか、がよく分かる。やっぱり、イタリアのビッグクラブを率いてきたキャリアは伊達じゃない。メンバーのモチベーションを下げない、上げるきめ細かさはすごかった。

読む前に知りたかったことが二つ。

  1. 2014本大会の敗因は何だと考えていたのか
  2. 就任当初は躍起になっていた3-4-3はいつから外れたのか。

だけどこの二つについては明確に答えは書いていない。

1)については、この本の最後がワールドカップが終わるところまでで、総括的な事をまだ考えていない時期までだったことから、仕方ないか…でも、キーワード的に気になったのが、初戦で負けた後のザックの言葉に「フィジカルは問題なかった」とあったこと。なんか、鹿児島で体をいじめ過ぎたからという論調、多かったよな・・・という訳で意外でした。

2)も明確に「3-4-3」は止める、とは出てこない。が、話の中で2012年のワールドカップ最終戦日本ラウンド連戦、日韓戦、コンフェデイタリア戦、のパフォーマンスが何故できないんだと話しているところもあるから、この辺りのゲーム内容の良さから、断念したと考えるべきなんだろう・・・

という訳で一読してあらためて考えてみるワールドカップ敗退の理由。あくまで個人的な感想ですよ。

  • 長谷部の怪我
    • 大きかったんじゃないかと思う。ザックが長谷部をかなり信頼していたのは間違いない。ポジションもボランチで、ゲームのペースを変えることができる部分だっただけに、準備段階の調整不足が大きかったのでは?遠藤/長谷部というボランチベストチョイスをワールドカップ直前にいじくらざるをえなくなったのは、やっぱりまずかったような気が。
  • 日本人コーチの不在
    • あまり語られていないけど、具体的には関塚さん。彼はオリンピック代表の監督だったので途中まではザックジャパンのメンバーだったのだが、オリンピックが終わってから外れてしまった。通訳の矢野さんもアマチュアではないが、やっぱり監督に近くなってしまうので、選手に近い日本人スタッフが(ちょうどトルシエの時の山本コーチのような人)いた方が良かったんじゃないか、結果として長谷部にかかる負担が増えてしまったような気がする。
  • 4年間というスパン
    • ザッケローニ、就任後すぐのアジアカップで結果出したり、急増メンバーの東アジアカップで優勝したり、結構短期間で戦えるチームを作るんだけど、そこからの成長ができたか、というと???な感じ…ベストゲームとして2012年を出すという事はそこから成長が止まっているわけで、チームを壊すこともできず、結局岡ちゃん時代の守備的シフトをだんだん忘れて攻撃的になり、点は取られるが一流どころには点は取れない、という中途半端な位置になってしまったのではないだろうか。案外、オリンピック終了後に呼んでも間に合ったかも。

で結局、守備と攻撃のバランスがおかしいまま、アギーレジャパンもハリルホジッチジャパンも苦労中 ((特Aレベルのコンペティションでクリーンシートで勝った記憶が無い)) 。どうなるか分かりませんが、個人的にはとにかく信じるしかないのです。なので9月のワールドカップ予選も見に行きますよ。

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